透析を受けていると、定期的に血液検査があります。
主にカリウムとリンを重要視しますが、その他の項目の見かたも知っておきましょう。
目次
①栄養は摂れていますか?
正常値 | |
総蛋白(TP) | 6.7~8.3g/dl |
アルブミン(Alb) | 3.5~5.0g/dl |
②炎症や感染の心配は?
正常値 | |
白血球(WBC) | 3500~9000個/mm3 |
CRP | 正常値0.3mg/dl以下 |
CRP高値
炎症が存在するとCRP高値となり、
1番多いのが感染症で、
2番目に悪性腫瘍、
3番目に血管炎などの膠原病が考えられると言われています。
ウイルス感染症の一つである風邪でも
CRPは上昇します。
白血球数増多を伴う場合は細菌感染症の可能性が高く抗生剤治療を行います。
その他にも、結核などの感染症、リウマチ熱、心筋梗塞、肝硬変、敗血症、悪性腫瘍などでもCRPが上昇することがあります。
弱陽性の場合もウイルス性疾患、急性肝炎、脳炎、内分泌疾患などの疑いがあります。
③脂肪やコレステロールを摂りすぎていませんか?(脂質異常症)
総コレステロール | 120~220mg/dl |
LDL-C | 120mg/dL未満(透析患者の目安) |
HDL-C | 40~70mg/dL (40mg/dL未満で脂質異常症) |
中性脂肪(TG) | 50~130mg/dL |
動脈硬化は、動脈の血管壁にコレステロールがたまることで、血管壁が厚く硬くなる病態です。
放置すると狭心症や虚血性心疾患などの心臓病を引き起こすことになります。
LDLコレステロールや中性脂肪は動脈硬化を進行させる要因であり、適切な値に維持することが大切です。
透析患者では、善玉のHDLコレステロールが相対的に少なく、中性脂肪を分解する酵素の働きが低下しているため、健康な人より動脈硬化の進行が速いといわれています。
④毒素、透析効率に関するデータ
目標値 | ||
尿素窒素(BUN) | 50~90mg/dl | タンパク質の代謝物質であり食事の影響を受ける。 低値:タンパク摂取不足 高値:タンパク摂取過剰・透析不足 |
クレアチニン(Cr) | 14mg/dl以下 | 筋肉の代謝産物であり透析不足・筋肉量増大で高値になる |
尿酸(UA) | 10mg/dl以下 | 食品のプリン体過剰摂取・透析不足で高値となり痛風発作や痛風結節を形成する |
カリウム(K) | 3.6~5.5mEq/l | カリウム摂取過剰・透析不足・出血・溶血で高値となり重篤な不整脈から心停止することもある。 カリウム摂取欠乏・下痢・嘔吐によりカリウム喪失し低値となり脱力、不整脈の原因となる。 |
⑤骨や関節に心配はありませんか?
目標値 | |
カルシウム(Ca) | 8~10 mg/dl |
リン(P) | 3.5~6 mg/dl |
ホールPTH | 105 pg/ml以下 |
ホールPTHは、副甲状腺から分泌されるホルモンで低カルシウム血症が続くと多量に分泌され骨からカルシウムやリンが溶け出し、骨がもろくなる。
初期には内服ビタミンD剤にてホールPTH値は改善する。
長期透析にて2次性副甲状腺機能亢進症を合併すると、静注用ビタミンD剤やレグパラ内服等の治療が必要となる。
更に進行すると手術にて副甲状腺を摘出します。
⑥貧血になっていませんか?
◆貧血に関するデータ
目標値 | ||
血色素(Hb) | 10~12mg/dl | |
ヘマトクリット(Ht) | 30~35% | |
フェリチン | 100ng/ml以上 | 鉄の貯蔵庫であり、つまり体の中にどの位鉄があるか反映 |
まとめ
やはり血液検査で一番気になるのはカリウム・リンですね。
カリウムは、摂りすぎると命に直結するので気を付けないといけないものです。
カリウムの上昇は、個人差があるので
これくらい食べたら、これだけの値になるというのを
検査結果をチェックしながら、身体で覚えるといいですね。
リンは、少しくらい上がっても、痛くも痒くもないし、
今すぐに症状が出るわけではないですけど、
リンが高い状態が続いていると、透析が長期になってきたとき、将来的に骨や関節などに悪影響が出て、歩くのに支障がでたり、痛みがでたり、日常生活をおくるうえで困難な状態になることもあります。
また、動脈硬化にも気を付けたいところです。
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