透析患者は、ダイアライザーやチューブなどの透析材料と血液が直接触れることで、
多少の炎症反応が出るといわれています。
透析材料は、人体にとっては異物ですものね。
本当に、透析患者はCRP(炎症反応)がやや高めになるのでしょうか?
目次
CRPとは?
CRPとは? | ・「CRP」➡(C-リアクティブ・プロテイン)の略 ・「C反応性蛋白」のことで、 ・身体のなかで炎症が起きているときに血液中で上昇するタンパク質 ・炎症や組織が壊れることにより、肝臓で作られる蛋白質の一種 |
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正常値 | 0.3ミリグラム以下 |
異常値の場合に考えられる 主な疾患 |
陽性反応が強い場合 ・結核などの感染症 ・膠原病 ・リウマチ熱 ・心筋梗塞 ・肝硬変 ・敗血症 ・悪性腫瘍 など。弱陽性の場合 ・ウイルス性疾患 ・急性肝炎 ・脳炎 ・内分泌疾患 などの疑いその他 ・けがや手術のあと ・風邪や胃腸炎 ・むし歯 |
体に現れる特徴 | ・発熱 ・不快感 ・関節痛 など |
透析患者は、CRPが高め傾向?
透析患者のCRPに関する資料を捜してみました。
透析患者の約半数で、臨床的に明らかな感染症がない場合CRP濃度が持続的に0.4mg / dl以上に上昇していたと報告している。
しかし、透析患者におけるCRP濃度の持続的上昇の理由は明らかではない。
・透析膜を通しての透析液から血液へのエンドトキシンの流入、
・人工血管の使用、
・生体適合性の悪い膜の使用などが、
持続的CRP上昇の理由である可能性は否定できない。![]()
出典 http://touseki.loglog.jp/07.01.htm
この資料から、透析患者のCRPを見ると、0.5~1.0の値が一番多いようですね。
正常値は0.3以下なので、正常値を少しオーバーしているようです。
透析材料が直接血液に触れることでCRPが上昇する?
透析患者は、直に血液がダイアライザーなどに触れる為、多少の炎症反応がみられるといいます。
では、ダイアライザーやチューブって、どんな材質を使っているのでしょうか?
ダイアライザーの材料
・セルロース系(再生セルロース、セルローストリアセテート)
・合成高分子系(ポリスルホン、EVOH、ポリアクリロニトリル、・ポリメチルメタクリレート等)
と、横文字がならびます。
セルロース系は、天然で身体に優しいイメージで、
合成高分子系は、石油から作られ、身体に影響がでないか心配です。
原料 | 特徴 | ||
セルロース | 天然系 | 基本的に植物 | ・セルロースは食物繊維の一種 ・大豆やごぼう、穀類などに多く含まれている |
合成高分子 | 石油系 | 石油 | 分子量が約1万以上の物質を高分子化合物と言い、その中でも人工的に合成されたものは合成高分子化合物と呼ばれる。
ポリエチレンやナイロンなどがこれに該当する |
ダイアライザーの生体適合性
セルロース系の透析膜では、血液との接触により以下のような現象がみられる
・白血球凝集による白血球減少
・顆粒細胞(mast cell)か らの ヒス タ ミン遊離
・肺血管透過性の充進このような補体の活性化は、透析膜の生体適合性の一つの指標となる。
透析開始初期にみられる低酸素血症の約20%がこの補体活性化によって説明できるといわれる。
最近、透析膜によって単球(白血球の一種)が刺激され、
インターロイキン-1(サイトカインと呼ばれる生理活性物質の一種で、炎症反応に深く関与)を産生することで、急性炎症反応と類似の反応 がおこり
・筋肉痛
・頭痛
・脱力感な どを生ずる可能性があることが指摘され、
いわゆる透析困難症や透析 中(後)の 原因不明の発熱などとの関連があるとされる。出典
https://www.jstage.jst.go.jp/article/membrane1976/14/1/14_1_21/_pdf
麦が透析患者のCRPを下げるというデータ
”血液透析患者における麦ご飯摂取の脂質代謝改善の可能性”という論文を見つけました。
血液透析患者における麦ご飯摂取の脂質代謝改善の可能性
長崎腎病院【背景】
水溶性食物繊維が豊富な麦は、腸内環境改善に有用な食材であるが、白米に比べ K を
含有することから、血液透析患者への積極的な摂取は推奨されにくく、また血液透析
患者への麦ごはん摂取に関する報告もない。【目的】
血液透析患者に麦ご飯を提供し、その血清パラメータの変化を検討する。【対象】
入院患者 8 名(男 4 名、女 4 名、平均年齢 73.8±8.7 歳、平均透析歴 3.7±3.9 年)【方法】
白米と麦の割合を 8 対 2 とした麦ご飯(約 1.0g の水溶性食物繊維含有)を昼食に提
供し、変更前後の血清パラメータや排便回数などを調査した。【結果】
・HDL-C は有意に上昇
・LDL-C、CRP に関しては有意な低下が認められた(P<0.05)。
・K値に変化は認められなかった。
・排便回数の有意差は認められなかったが増加傾向であった。【考察】
今回、透析患者の麦ごはん摂取の検討においては、麦の量や摂取回数に配慮すれば K
値に問題はなく、むしろ少量で炎症や脂質異常、便通改善などいくつかの効果が期待
できる可能性が示唆された。
体内の「炎症」を、コーヒーが抑える?
毎日コーヒーを飲むことによって、炎症を抑える可能性がある
■炎症には急性炎症と慢性炎症がある
【急性炎症】
風邪をひいたときに起こる炎症。
熱が出たり頭痛が起きたりするが、辛ければクスリである程度抑えることができるし、原因が取り除かれれば快方へと向かう。【慢性炎症】
「自覚症状もない弱い炎症だが、長く続くといろいろな病気の『引き金』になることがわかってきた
クスリに頼らずに、食べもので慢性炎症を抑える方法やメカニズムの研究
・「長い間、継続して」摂り続けるには、食べものほどうってつけなものはない。・「この瞬間も起きているけれど自分では認識できない弱い炎症に、数十年単位で摂り続けられる食べものが有効ならば、多くの人の役に立つはず」
・すでに自覚症状がある人よりも「元気でどこも悪くない」と思う人こそ、食べものの力で健康を維持することが大事。
まとめ
CRPが上がると、なんとなく体調が悪くなります。
私は過去に、不明熱が続き、CRPが30まで上がったことがあります。
その時は、死ぬかと思いました。
CRPが高い透析患者さんで、がんが見つかった人もいます。
今後もCRPの変化に注意していきたいと思います。

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