透析患者の死亡原因第1位は心不全です。
透析は心臓に負担がかかるようなんですけど、
どんな原因で心臓が悪くなりやすいのか?を知ることで
気を付けられることもあるかと思います。
目次
心不全とは?
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎などの心臓のさまざまな病気や高血圧などが原因となり、
引き起こされる状態のこと。
心不全では心臓のポンプ機能(全身に血液を送り出す機能)がうまく働かず、全身の血液の循環が滞ってしまう。
心不全ってどんな症状?
「むくみ」「息切れ」に要注意。
「だるさ」「疲れやすさ」もあります。
心不全の初期に見られる症状として、
脚の前面や足首、足の甲を指で押さえるとくぼみができるような「むくみ」や、
坂道・階段での「息切れ」があります。
心不全は全身に水分がたまってしまう状態ですので、
体重増加や横になると咳が出たり、息苦しくなったりします。
心不全は「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられる
急性心不全
短期間のうちに激しい呼吸困難や胸の痛み、動悸、咳き込みなどが現れ、
顔面や手足が蒼白したり、寒気を感じたりする。
重症だと、意識がもうろうとした状態になるなど、意識障害が出てくることも。
慢性心不全
日常から軽度の症状として、呼吸困難や息切れ、咳き込み、疲れやすさ、手足の冷え、動悸、足のむくみなどがあるのが特徴。
少しずつ症状が悪化してしまう傾向もある。
また、風邪やストレスなど、何かしらのきっかけで慢性心不全が急激に悪化することもあるため、注意が必要。
透析患者と心臓病
透析導入時には心不全がない患者でも、
年間7%の割合で心不全を新規に発症しています。
心不全を合併した透析患者の5年生存率は12.5%です。
透析患者が心臓病を発症する原因
透析患者が発症する心臓病の種類
透析患者では
・虚血性心疾患
・心臓弁膜症
・高血圧性心筋症
・代謝性心筋症
・長時間持続する徐脈性頻脈性不整脈
・心膜炎など
多彩な疾患を合併し、
心不全を発症した場合には、
これらの原疾患を識別識別することが重要になります。
体に水がたまりすぎで発症する心臓病
一方明らかな器質的・機能的心疾患を伴いませんが、
相対的に体液量が過剰となって発症する非心臓性浮腫があります。
原因としては、
①過剰な塩分摂取による体液量過剰状態
②重症貧血
③ 過大血流量内シャント
④高血糖 など
透析患者におけるうっ血症状(※1)の約25%が、
非心臓性浮腫(※2)とする報告もあります。
体重増加の激しい透析患者は、
心臓病を発症する可能性が高く、
心不全で亡くなる大きなリスクを負っていることをもっと重要視すべきです。
※1うっ血症状とは?
・臓器や血管に「うっ血(血液の流れが悪くなり、滞ってしまうこと)」が
起こっている病態です。
よくある症状としては、
息切れ(呼吸困難)、激しいせき、胸の痛み、手足のむくみ(浮腫)、倦怠感、夜間の頻尿といったことがあげられます。
※2非心臓性浮腫とは?
心臓の機能とは関係のない体液過剰(体に水がたまりすぎること)によるうっ血です
診断
心不全の診断においては、
主要臓器のうっ血症候を明らかにするための問診と
理学的所見による評価が最も重要です。
透析患者の場合、体液量が最も増加している透析前に行うことが推奨されています。
心不全の診断過程は非透析患者と同様です。
問診と理学的所見
心不全症状としては
・左心不全に伴う肺うっ血と血圧低下
・右心不全に伴う末梢組織の浮腫、肝腫大、頸静脈怒張、胸・腹水貯留などです。
肺うっ血が軽度の場合には、労作時呼吸困難を訴えることが多いです。
重症化に伴って安静時あるいは夜間発作性の呼吸困難、起座呼吸が出現します。
問診のポイントは、
呼吸困難の有無と動作の関連性、
四肢冷感やチアノーゼの有無です。
体重増加量と症状の有無にも常に注意を払う必要があります。
左心不全と右心不全
心不全は大きく左心不全と右心不全に分かれる。
透析患者特有の所見
①透析中に繰り返す低血圧発作
②透析中に血圧が低下するために除水が困難となりドライウェイト達成に支障をきたしている状況
③心胸比が急激に拡大した場合などは
うっ血症状が 明らかでなくても心不全の発症を考えて心機能を評価するべきです。
まとめ
ぜんじんきょうNO.301”透析患者の心疾患”をまとめてみました。
ぜんじんきょうの特集記事を普通に読んだら、内容が難しすぎてあまり理解できませんでした。
ぜんじんきょうの解説は、難しい医学用語が多いという印象を受けるのは、
私だけでしょうか?
引用
・全腎協301号(2020.9.6)”透析患者の心疾患”
・https://doctorsfile.jp/medication/139/