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【透析】手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)と不自由解消グッズ

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長期透析患者の合併症のひとつに、手根管症候群があります。

私も、指先がかなり不自由になってきました。
指先の感覚がないので、ものをよく落とすし、
ボタンをかけるなどの細かい作業が出来なくなりました。
あと 爪を切るのもたいへんです。
握力もだいぶ弱くなってしまいました。

日常生活のちょっとしたシーンで、不自由さを感じるようになりました。

手根管症候群になるとどんなことが不自由になるのか、
そして、その不自由さを補うグッズを紹介します。

 

手根管症候群とは?(透析患者の場合)

透析患者の手根管症候群とは?
手首の靭帯にアミロイドがたまり、神経を圧迫することで
手指のしびれ、痛みがでることです。

手指の疼痛は透析中や夜間に強くなります。

 

アミロイドがたまる原因は、透析アミロイドーシスによる

透析アミロイドーシスとは
透析膜で除去しにくい老廃物(β2ミクログロブリンなど)が体に蓄積して、
骨、靱帯、腱(すじ)などにアミロイド線維が沈着し、痛みを引き起こすものです。

骨や関節に沈着したβ2ミクログロブリン(β2-MG)は、
水に溶けず酸にもアルカリにも溶けないアミロイドという物質になり、
やがて骨や関節の痛み、変形、運動障害をおこしてきます。
このようになった状態をアミロイドーシスと呼びます。

 

手根管症候群の症状

初期には人差し指、中指がしびれ、痛みがでますが、
最終的には、親指から薬指の親指側の3本半の指がしびれます。

急性期には、しびれ、痛みは明け方に強くでて、痛みで目が覚めることもあります。

手を振ったり、指を曲げ伸ばしするとしびれ、痛みは楽になります。
手のこわばり感もあります。

ひどくなると母指の付け根がやせて、
親指と人差し指できれいな輪っかが作れなくなります。

 

手根管症候群の手指

■グーが出来ない ↓
ぎゅーっと曲げてもこれくらいしか曲がりません

■親指と人差し指できれいな輪が作れない ↓

■指が真っ直ぐに伸びない ↓

■親指の根元がへこんでいる ↓

 

手根管症候群になると難しくなる動作

・小銭がつかめない
・着替えが難しくなる
・ボタンがとめにくい
・爪が切りにくい
・箸が持ちづらい(食事の途中でしびれる)
・よくものを落とす
・文字が書きづらい
・ペットボトルの蓋や、缶詰などのプルタブが開けにくくなる
・縫い物が出来にくくなる
・印鑑が押しにくくなる
・キーボードが打ちにくくなる
・車の運転がしにくくなる
・握力が弱くなる

指が曲がりにくかったり、
手先が思うように動いてくれなくなるので、
細かい作業が難しくなります。

着替える時の工夫としては、ボタンがある服を着れなくなったので、
Tシャツを着ることが多くなりました。
よく伸びる素材の服を選ぶようになりました。

透析室で体重を測る時に使うカードも持ちにくいですが、
私は、薬指と小指を使って持っています。

 

手根管症候群発症予防のために出来ること

手根管症候群を発症してしまうと、
今まで、簡単に出来ていたことが出来なくなり、
日常生活が不便になってしまいます。

手根管症候群の予防または、発症を遅らせる方法として
・十分な透析をする
・オンラインHDF(大量の置換液を使用した血液濾過透析)
・透析液の清浄化 など

HDFとオンラインHDF

HDF(Hemodiafiltration)とは?

血液透析にろ過を加えた治療法です。
HDFでは、ろ過する量を増やすために補液をし、血液透析よりろ過を多量に行うことで、血液透析では半透膜の孔の大きさに近いため、通り抜けにくい低中分子蛋白といわれる物質を取り除くことができます。
HDFには、オンラインとオフラインがあります。

オフラインHDF
瓶や補液バックに入った薬剤を補充液として使用します。
そのため、ろ過するために足される補充液量は少ないという特徴があります。

オンラインHDF
透析液をそのまま補充液として使用します。
そのため、ろ過するために足される補充液量が多くなるという特徴があります。比較すると、オンラインHDFのほうがより多くのろ過をかけることができ、
より多くの老廃物を取り除くことができます。

オンラインHDFは、
アミロイドーシスの原因であるβ2-ミクログロブリンを積極的に取り除き、
手根管症候群などの、合併症を予防することができるといわれています。

リクセル


手根管症候群の手術を行って、アミロイドが検出されると、
リクセルを使えるようになります。

リクセルとは?

透析アミロイド症の治療のために用いられる血液浄化装置。
10年以上の長期にわたって透析を続けている場合に、
患者の体内に蓄積され、関節炎や関節の麻痺などを引き起こす「β2マイクログロブリン」(β2MG)を、吸着して除去する。

透析技法の進歩で透析アミロイドーシスの発症を5年間遅延

透析技法の進歩で透析アミロイドーシスの発症を5年間遅延
【β2MG除去率80%以上で新規手根管症候群手術が減少】

透析アミロイドーシス
長期透析を実施した患者に発症する合併症で,全身性アミロイドーシスのひとつである。
透析患者では腎臓から排泄されるべきβ2ミクログロブリン(β2MG)の血中濃度が正常の10~40倍に上昇する。

透析アミロイドーシスは
β2MGが前駆蛋白となり,主に骨関節周囲に沈着することで発症する。

透析歴20年の長期透析患者では
透析アミロイドーシスによる手根管症候群が約50%に認められるとされていた。

日本透析医学会では1999~2000年,2010~11年に
それぞれ,新規に手根管症候群手術を実施した患者数の調査を行った。
その結果,透析歴20年での新規手根管症候群手術を実施した患者は,
1999年の16.5%が2010年には7.8%に減少した。

1999年と2010年の全体の比較からも,
この10年間で透析アミロイドーシスの発症を約5年間遅延させたことが明らかとなった。

血中のβ2MG濃度と透析アミロイドーシス発症との関連は明らかでないが,
β2MGの除去率を80%以上に上げた患者では,
新規に手根管症候群手術を実施することが少なくなっていることもわかっている。

これはβ2MGの除去可能な透析器の開発,大量の置換液を使用した血液濾過透析の普及,透析液の清浄化など,透析技術の進歩により,長期透析アミロイドーシスの発症を遅延させることに成功した貴重な調査結果と考えられる。

<引用 日本医事新報社>

 

 

手の不自由さを解消するグッズや工夫

手の不自由さを補うための工夫として、私が使っているものを紹介します。

ゴム手袋の切れ端

手の不自由さを補うのに、以外と便利なのが、ゴム手袋を切ったものです。
滑りにくく、力が入りやすいので

・ペットボトルの蓋を開ける
・調味料の中せんを開ける
・卵パックを開ける
・印鑑を押すとき、うまく握れないので、印鑑にゴム手袋を巻き付けて押すと
うまく押せます。

その他、ちょっとした所で、握力補助として活躍します。

 

プルタブオープナー

缶詰や缶ジュースのプルタブを開けるのが、難しい時に ↓
簡単に開けることができます。

 

ボタンかけ

冠婚葬祭などで、どうしてもボタンのある服を着なくてはいけないときもありますね。
そんな時の補助グッズとして、ボタンかけという器具があります。

その他、車の運転に関しては、
車のハンドルカバーをすることにより、持ちやすく力が入りやすくなります。

 

まとめ

私は、透析24年目に手根管症候群を発症して、両手共に1回は手術を受けましたが
症状が改善されたのは、術後2~3年くらいまでで、
すぐにまた症状が出てしまいました。

透析患者さんのなかには、何度も手術を繰り返す人もいますけど
透析をしている限り、再発を繰り返すようです。

でも、最近は30年以上の長期透析患者さんでも、
手根管症候群を発症しない人もいます。
透析技術の進歩や透析機器やダイヤライザーの性能がよくなったこと、
きれいな水を使うことによって、
最近透析導入される方は、手根管症候群になる人が少ないようです。

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