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【透析患者と帯状疱疹】帯状疱疹の内服薬で中毒をおこして幻覚が出ることがある

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帯状疱疹の薬で、たいへんな目にあったので、透析患者が帯状疱疹を発症した際に起こりうる重篤な症状と注意点をまとめました。

帯状疱疹の内服薬で中毒症状を起こした経緯

帯状疱疹は、免疫力が低下したときに発症するようですが、私の場合、少し睡眠不足が続いた後に発症しました。睡眠不足は免疫力を弱めるようです。
最初はかゆみから始まり、だんだんひどくなってきたので皮膚科を受診しましたが、まさか帯状疱疹だとは思いませんでした。
帯状疱疹は以前にも経験したことがあり、その時とは様子が違っていたからです。

症状 2024/4/13(土)頃から、右耳のかゆみと痛み
診断と処方薬 4/17(水) 皮膚科受診
帯状疱疹と診断され内服薬と塗り薬を処方される
内服薬:バラシクロビル錠500mgを朝、昼、夕と3回、3日分
塗り薬:ビダラビン軟膏3%、アクロマイシン軟膏3%
服薬 バラシクロビル錠500mg
4/17(水) 昼1錠 夕方1錠
4/18(木) 朝1錠 昼1錠 夕方1錠
※4/18(木)の夜、中毒症状出現後、服薬中止
中毒症状出現 4/18(木)夜
幻覚
はきけ、下痢、めまい、ふらつき、喉の渇き
血圧上昇(200前後)
回復 4/19(金)5時間透析後、幻覚消失、体調も少しずつ回復
透析患者への処方標準 ・バラシクロビル錠500mgだと、1日1錠の5日分
・1日に、3倍量を飲んで、幻覚が出現
反省点 ・皮膚科を受診する際は、必ず透析主治医からの紹介状を持参すること
・内服薬を飲む際は、必ず主治医の判断を仰いでから飲むこと
皮膚科では、透析をしていることを口頭で伝えたのですが、うまく伝わらなかったか、医師に透析患者への処方に関する知識がなかったと考えられます。自分が透析を受けている病院には、帯状疱疹と診断され、薬を処方されたことと、薬局でもらった処方の用量用法を記した紙を見せたのですが、それが主治医にうまく伝わっていなかったようです。

私の場合、バラシクロビル錠500mgを朝、昼、晩と1日3回飲んで、中毒症状が出ました。(透析患者の標準処方は、バラシクロビル錠500mgだと1日1回でいいそうです)
症状は、幻覚、血圧上昇(200前後)、下痢、はきけ、めまい、ふらふら感で死ぬかと思いました。
中でも、幻覚は初めての体験で、まぶたの裏にいろいろなものが蠢いていました。
それは真夜中に起き、幾何学模様や、小さな虫、血管の中を流れる赤血球やゲジゲジのようなもの、いろいろなものが見えました。目を開けると、部屋の中に木の根が張っていき、部屋中が木の根でいっぱいになりました。
電気をつけて、目を開けているといくぶんかましでした。

 

透析患者が帯状疱疹を発症した際は服用薬に注意する

帯状疱疹の内服薬バラシクロビルは、透析患者には注意が必要です。
薬の量が多すぎると、腎機能が働かない透析患者は、血中濃度が高くなり、幻覚などの中毒症状が現れます。
皮膚科で内服薬を処方された場合は、用量用法が正しいかを必ず主治医の先生に確認をとってから、飲むようにしましょう。
帯状疱疹の内服薬は、できるだけ早く飲むことを勧められます。
でも、透析患者の場合は、用量用法を誤ると、幻覚などの重篤な副作用を発症することもあるので、注意が必要です。

バラシクロビル脳症とは?

バラシクロビル脳症とは? 抗へルペス薬のバラシクロビルは中枢神経系への移行が良好であり、その脳脊髄液中濃度は血中濃度の約50%と高い。主に腎臓で排泄されるため、腎機能障害者では排泄が遅延し、まれに精神神経症状をきたす。
症状 意識障害、興奮・錯乱、振戦、傾眠、幻覚、ミオクローヌス(自分の意志とは無関係な運動を起こす不随意運動の一つ)、異常行動、構音障害(うまく発声ができなくなった状態)、歩行障害など
治療・予後 多くは薬剤投与中止により24時間以内に改善するとされるが、重症例では昏睡に至り、死亡することもある
※バラシクロビルは腹膜透析では除去されない。血液透析では除去される。

 

 

バラシクロビル錠500mg「SPKK」

作用と効果
ウイルスDNAの複製を阻害することによりウイルスの増殖を抑えます。
通常、単純疱疹、帯状疱疹、水痘の治療や、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症、性器ヘルペスの再発を抑えるために用いられます。
使用上の注意
以前に薬や食べ物で、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。腎臓が悪い、あるいは透析を受けている。
妊娠または授乳中
他に薬などを使っている(お互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意してください)。
用法・用量 帯状疱疹:通常、成人は1回2錠(1,000mg)を1日3回服用します。
単純疱疹:通常、成人は1回1錠(バラシクロビルとして500mg)を1日2回服用します。
主な副作用 発疹、蕁麻疹、かゆみ、光線過敏症
重篤な副作用 ・呼吸困難、血管浮腫、動悸 [アナフィラキシーショック、アナフィラキシー]
・発熱、出血しやすい、全身けん怠感 [汎血球減少、無顆粒球症などの血液障害]
・尿量減少、むくみ、全身けん怠感 [急性腎不全]
・意識障害(昏睡)、幻覚、痙攣 [精神神経症状]
・結膜充血、中央に浮腫を伴った紅斑、口腔や陰部粘膜などのただれ [中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群]

≫バラシクロビル錠500mg「SPKK」の基本情報

 

バラシクロビルで重篤な症状を引き起こした例

症例1(70歳男性、体重42㎏)

皮膚科で帯状疱疹と診断と処方 2002年1月31日、皮膚科において顔面の帯状疱疹を指摘され、
バラシクロビル錠1000mg(分2)朝・夕食後7日分の処方を受けた.
同日夕食後,翌日朝食後にそれぞれ500mg内服し,定期HDに来院した.
主治医による処方見直し 主治医がバラシクロビル錠1,000mg/日は過量となる危険性を指摘し,HD後500mgの投与に処方変更され,2月1日HD後に500mg内服した.
症状悪化で入院 しかし,翌2月2日朝より異常言動,感情失禁あり,食事摂取するも嘔吐あり,午 後5時にACV(アシクロビル)中毒疑いにて入院となった.
入院時血圧190mmHgであり,意識障害の原因となる電解質異常や肝障害,重篤な感染症を疑うデータは認められなかった
経 過 バラシクロビルの中毒症状と推定し投与は中止とした.
意識障害と意味不明の言動を認めたが四肢麻痺は認めなかった.
治療としてバラシクロビルの除去を目的とした3時間の臨時HDを行った.
HD直後は意識レベルの変化は認めず ,夜間は不穏行動はなかった.
翌朝にはわずかに見当識障害が残る程度となり ,昨日の症状について 「昨日は死にそうやった.頭ではわかっていたが,口がうまく動かない 」 と話された.
臨時HD終了から約12時間後に中毒発現前の意識状態に改善した
バラシクロビル濃度の推移 臨時HD前の血清バラシクロビル濃度は10.03μg/mLであり,HD後には4.34μg/mLに低下し,その38時間後の2月4日HD前には、1.36μg/mLにまで低下した.
3時間HDにより血清バラシクロビル濃度は57%低下し,非HD時の消失半減期は約22時間と算出さ れた
帯状疱疹の経過 顔面帯状 疱疹にはアラセナ軟膏(R)塗布にて対応し,約10日間継続したのち治癒した.

≫血液透析患者の帯状疱疹に対する塩酸バラシクロビルの適正投与法に関する検討(PDF)

 

透析患者のアシクロビル中毒はなぜなくならない?

―第 52 回日本透析医学会コメディカルシンポジウムより―

ACV中毒の実態 1999〜2006年にACV中毒に関する報告は少なくとも13 報(22 症例)存在し,多少の変動はあるものの経年的な報告数の減少は認めず,過去数年間にわたってACV中毒は発生し続けていた
報告された患者背景の特徴 ・男女差は認めない
・高齢者に多発していた
・製剤としては経口剤による中毒発生がおよそ8割を占める
・バラシクロビルによるものが目立って多かった
経口ACV 製剤の投与法の特徴 ・添付文書における透析患者への用量基準のめやすを上回っていた症例が47%,
・減量を考慮された例における症例が 53%であった.
透析患者における ACV中毒の原因 ①「適切に減量せずに投与」
②「減量しても発生」の2種に大別される.① に関しては,透析患者であることを考慮した処方であるかをチェックするシステムの構築が必要である
② に関してはどの程度の減量によって有効性を確保しつつ安全に投与できるのかを明らかにしていく必要がある.
考察 ・一時的な血中濃度の上昇よりむしろ,血中濃度が十分に低下しない投与方法が ACV中毒発現に関連していることが推測された
・腎機能が廃絶していても,加齢によってさらに消失が遅延することも示唆され,このことは,高齢者で中毒の発現が多いことと関連している
問題点 ・経口剤では体格については触れられておらず,低体重の症例では血中濃度が比較的高くなる危険性がある可能性がある
ACV中毒回避のためのポイント ・「投与間隔の延長」と「体格に応じた投与量」を考慮する
・腎不全患者に対して減量を要する薬剤についての医療スタッフへの教育が必要
・腎不全患者への過量投与に対するチェックシステムの構築

≫透析患者のアシクロビル中毒はなぜなくならない?(PDF)

私も数年前、実際に帯状疱疹になった透析患者が、透析中に錯乱状態になった様子を見たことがあります。
その時は、怖いなと思いましたが、実際に自分が経験しないと分からないものですね。
医師はそのへんの知識はあるでしょうけど、看護師や臨床工学技士のほとんどは、透析患者におけるバラシクロビル中毒の知識がないことを実感しました。
今は、臨床工学技士が透析中の受け持ちをすることが多いです。

加えて、薬剤師でさえ透析患者におけるバラシクロビル中毒の知識がありませんでした。
薬剤師に内服薬を飲むことの不安を訴えたら、「安全な薬だから心配ない。透析患者も飲んでいますよ。早く飲むほど効果があるので、今すぐに飲んだほうがいい」との説明でした。

透析患者が帯状疱疹になった場合、透析医療スタッフにはもう少し慎重になってほしいです。医師への伝達ミスがあった場合でも、看護師、臨床工学技士、薬剤師のうち誰か一人でも、バラシクロビル中毒の知識があれば、苦しい思いをしなくてもよかったかもしれません。
もちろん、患者側も自分を守るために、知識をつけることは重要です。

透析患者が飲んではいけない薬

帯状疱疹の内服薬の他にも、透析患者が飲んではいけない薬はたくさんあります。
知らずに飲むと深刻な副作用が現れるかもしれません。

透析患者が服用薬に慎重になる理由は? 腎機能が著しく低下している透析患者では、腎臓に到達して排出される薬は血中濃度が高くなる
誤った投薬をした場合どうなる? ・病状を悪化させる
・深刻な副作用が現れる
透析患者に禁忌とされている薬の数は? ・80以上もある
腎機能低下時に最も注意の必要な薬剤投与量一覧(PDF)
透析患者に対する禁忌薬は? ・抗うつ薬(薬の血中濃度を高めてしまう可能性がある)
・リウマチ薬(腎障害を悪化させる恐れや腎不全を起こすリスクがある)
・副作用が強く現れるリスクがある薬、
・低血糖、出血を引き起こす可能性がある薬
・帯状疱疹の服用薬は量に注意
市販薬で注意すべきもの 解熱鎮痛剤に広く用いられているNSAIDやアルミニウム、マグネシウムが含まれる胃腸薬、便秘薬も注意が必要
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)に注意する 発熱や頭痛の緩和に使用されるが、腎障害の悪化や消化管出血などの胃腸障害を引き起こす可能性がある
アスピリン、ロキソニン、ブルフェン、ボルタレン、インダシン
胃腸薬や便秘薬に注意
(マグネシウムやアルミニウムが含まれている可能性がある)
・胃腸薬や便秘薬にはマグネシウム、アルミニウムといった成分が含まれている。
・マグネシウムが体内に蓄積すると高マグネシウム血症となり、不整脈や意識障害、心停止などのリスクが増加する
・アルミニウムが体内に蓄積すると、アルミニウム脳症と呼ばれる言語障害や精神障害、異常行動、骨軟化症により骨がもろくなるという問題が生じる
市販の漢方薬は飲んでいい? 透析患者が慎重になるべき成分が含まれていることがあるので、服用する前に主治医に相談する
透析患者の体内における薬の動き すべての薬は、さまざまな道のりを経て最終的に体から排泄される。
体の中で科学的に変化してから排泄されることもあれば、そのまま排泄されることもある。
ほとんどの薬は主に腎臓から尿中に排泄される。そのため、薬の投与量は腎機能に大きく関係する。透析患者では、主に腎臓から排泄される薬の場合、通常の投与量では多すぎて副作用を起こすことがある。
そのため、透析患者への薬物処方については、健康な人との腎臓の機能の違いを考慮しつつ慎重に行われている。

≫透析患者の薬物療法とは?目的や種類、飲んではいけない薬について解説

 

<透析患者が帯状疱疹を発症した際の注意点>

◆皮膚科受診の際は必ず透析主治医の紹介状を持参する
◆内服薬を飲む際は、透析主治医の確認をとってから飲む
◆内服薬の量に注意する
バラシクロビル錠500mgの場合は、1日1錠までとする
腎機能が正常な人は1日3錠だが、3錠飲むと幻覚などの中毒を起こすおそれがある

 

 

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