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【透析医療は高額!】医療費明細、公費負担はいつから?海外では?

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日本で透析を受けている人は、34 万 4,640 人(2019 年末)で、
約380人に1人が人工透析を受けています。
日本で透析にかかる医療費は、年間1兆6000億円に上ると推計されており、
医療費の4%を占めています。
≫「380人に1人」の人工透析大国ニッポン : 年間医療費1兆6000億円

透析医療って、何でそんなに高額なんでしょうか?
医療費明細書をもとに、透析医療にかかるお金を調べてみました。
また いつ頃から公費負担になったのか?
海外での透析医療費はどうなのか?調べてみました。

 

透析にはどれくらいのお金がかかっている?

透析診療 明細書内訳

項目 月額 透析1回あたり金額 備考
再診料 9,620円 740円 継続して同じ病気で受診したときに発生する
医学管理料等 22,110円 1,700円 医師による療養に必要な管理・指導を行った場合にかかる費用
検査料 8,800円
投薬料 2,920円 224円
注射料 180円 13円
処置料 393,990円 30,306円
合計 437,620円 32,983円

これにプラスして薬代と、調剤料も公費負担です。

透析を受けると、1ケ月で約40万円かかるとして
1年で、480万円
10年で、4,800万円
20年で、9,600万円
30年で、1億4,000万円
40年で、1億9,200万円
なんだか、気が遠くなるような数字です。

月40万円は最低でもこれくらいかかる金額であって、
リクセルなどを使うと、月70万円(1年で840万円)ほどになります。

海外では、透析を受けるたびに1回分の医療費を支払うシステムの国もあります。
透析1回に、32,983円支払うシステムだと
誰もが平等に透析を受けることは出来ません。
誰もが、お金の心配をすることなく
安心して透析を受けられるシステムになったのは、
先人たちの活動のおかげだそうです。

高額な透析機器

透析が高額なのは、透析治療そのものです。
理由は、透析機器が高額であることが考えられます。
通常の透析機器は、1台約350万円だと聞きました
高額のものは、800万円~1,000万円近いものまであるようです。
≫https://www.g-mark.org/award/describe/38002

透析機器の他に
・透析材料(ダイアライザー、回路、針など)
・スタッフの人件費
・電気代、水道代
などの費用がかかります。

 

公費負担で透析が受けられるようになったのはいつから?

透析医療に対する助成制度の始まり

 透析医療に関する制度はどのような変遷をたどってきたのでしょうか?

1967年以前 一か月の透析治療費約30~40万円が全額自己負担だった
(サラリーマンの平均年収が10万円くらいの時代)
 昭和42(1967)年 血液透析が保険適用となる
当時は世帯主本人負担は0、家族は5割(のちに3割)
現在のような助成制度は何もなく、透析は患者にとって非常に負担が重い治療であり、経済的な苦しさから治療を断念する患者も少なくなかった
昭和43(1968)年 負担軽減を求める透析患者たちが各地で患者会を結成、
人工透析研究会(現・日本透析医学会)が発足し、ともに国会や行政に陳情を行った
昭和47(1972)年 透析医療が「更生医療」として認められ、
一部負担金のみで透析が受けられるようになった
「更生医療」とは身体障害者の治療費用を国が援助する制度で、現在は「自立支援医療」と呼ばれている

≫透析をめぐる「お金」と「制度」

 

悲しい歴史・・・
1967年以前は、一か月の透析治療費約30~40万円が全額自己負担でした。サラリーマンの平均年収が10万円くらいの時代です。資産家しか透析できず、多くの庶民は自分の山、田畑、資産(自宅を売って引越すなど)を投げ打ったり、離婚したりして透析しました。透析できた人はまだいいほうで、お金がなくて透析できなかった多くの患者は死を待つしかなかったそうです。このような悲しい話は全国で相次ぎ社会問題になりました。

1967年になって、それまでは全額自己負担だったのが、やっと透析医療が医療保険の対象になって、会社員や公務員本人は自己負担ゼロになりましたが、それはほんの一部の人で、国民健康保険は3割、会社員の家族は5割負担でした。それでもこの時代の治療費は、10万円から12万円かかり、支払える人はわずかで、お金が払えず透析できずに多くの人が亡くなっていきました。まさに「金の切れ目が命の切れ目」でした。しかも1971年当時は全国の透析患者5,000人に対して人工腎臓(ダイアライザー)が1,575台と、圧倒的に台数が少なく、透析をしてもらえる人が少なく、患者が選択され、透析できたのは働き盛りの男性が優先されました。

≫NPO岐腎協会長のつぶやき

 

海外での透析事情は?

海外では、お金がないと透析が受けられなかったり、
ある程度の高齢になると透析医療の保険適用を受けられない国もあるようです。

裕福な人しか透析を受けられない(バングラディッシュ)

・毎回透析のたびにお金を支払うシステム
・1ケ月の給料より高いお金が透析にかかり、お金がないと透析が受けられません。
・腎不全患者の80%は定期的な透析と移植サービスの不足により死亡しています。
・透析を開始した患者の75%が費用を負担できないため、6か月以内に透析を停止している

【海外透析ニュース】バングラディシュで透析費用の値上げに患者が抗議。透析はかなり高額のお金がかかります。 日本では、当たり前のように、公費で透析が受けられますけど、 海外の貧しい国では、お金持ちしか透...

 

60歳以上の人は、人工透析の健保適用を受けられない(イギリスやドイツ)

社会保障に積極的だと考えられていたイギリスやドイツで、経費が保険財政を圧迫するということから、前世紀の終わりに入る前ごろから「60歳以上の人は、人工透析の健保適用を受けられない」ということになった。まさに「金の切れ目が命の切れ目」である。

福祉の先進国といわれる国でどうしてこういうことがまかり通るのかと思って、イギリスやドイツに行くたびに各界の人にこの問題の意見を聞いてみた。保健省の役人も医師会の先生も、医療経済学者も、積極的に反対という人は少なかった。私は意外に思ったのだが、ある役人は「老人の透析を健康保険で認めていたら健康保険は成り立ちませんよ」という人がいて、その人は「多分、私の考え方が最大公約数ですよ」といっていた。
人工透析料と健康保険

 

どんな状況でも透析を行うことは正しいの?

スウエーデンで、寝たきり老人がいない理由は、過剰な医療を行わないためだそうです。
自分で食べれなくなったら命の終わり、自分で呼吸が出来なくなったら命の終わり
ということです。
日本は、胃ろうや人工呼吸器などによって生かされている過剰医療の問題があります。
たぶん、本人は苦しむためだけに生かされているようなものでしょう。
同じようなことが透析にもいえて、どんな状態でも等しく透析を行うことが正しいのかどうかわかりません。

認知症患者の透析は、透析の意味も理解できないだろうし、自己管理も難しいでしょう
90歳を超えるような高齢者の透析導入、
末期がん患者への命が尽きる瞬間まで続く苦しい透析など、考えさせられます。

長期透析患者は、様々な合併症を抱える人も多く、
なかには寝たきり状態で、痛み苦しみを抱えながら透析で生かされて続けている人もいます。
「いつまで透析しながら生きなければいけないんだろう?」
「透析しながら長生きするのが怖い」という声も度々聞きます。
本当に苦しい状態になって、苦しむためだけに透析を続けているという状況になったときは、透析を中止できるような法整備が出来ればいいと思います。

 

まとめ

透析医療が高額なのは、透析機器の価格が高いからのようです。
透析機器の価格が安くなれば、透析費用も抑えられるのでしょうかね?

50年前は、金の切れ目が命の切れ目といわれて、大変な高額治療で、
お金持ちだけが受けられる治療でした。
今現在は、1部負担金を支払えば、誰でも平等に透析が受けられる時代になりました。
しかし、透析医療費は膨らみ続けて、いつまで公費負担で透析を受けられるか
分かりません。
収入に応じて透析費用を負担せざるを得ない時代が、すぐ目の前に来ているようです。

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