透析間の体重増加はどれくらいですか?
増えすぎて、注意される方もいらっしゃるかもしれませんが、
あまりにも増え方が少ない場合、食事の量が少なすぎることが考えられます。
透析間の体重増加は、増えすぎても少なすぎても予後が悪くなります。
目次
日本透析医学会のドライウェイト設定ガイドライン
日本透析医学会のドライウェイト設定ガイドライン
①中2日の体重増加は6%未満にする
あれ?今まで言われてきたのは、5%未満じゃありませんでしたっけ?
6%未満になったんですね。
解説
・中2日の体重増加を6%未満にすることが望ましい。
・ 体液量の管理不良は高血圧をひき起こし、心血管系に悪影響を与える
・ 透析間体重増加量が体重の2%以下と6%以上で予後が不良である
・ 6%が適正であるか否かには異論もある
・DW の 2.5 ~ 5.7%は死亡率が最も低い
本ガイドラインでは、
透析患者の予後が最もよいとされている日本での成績を重視し、
日本透析医学会統計調査委員会報告のデータ を基に、
体重増加を中2日では6%未満にすることを推奨することとした。
②平均除水速度は、15 mL/kg/以下を目指す
除水速度が 15 mL/kg/時とは、
4 時間透析で体重の 6%の除水を行うことに相当する。
過度の除水が生命予後に影響を与えることは, 日本透析医学会の成績でも
・体重増加量が 6%を超えると予後が不良であること
・透析時間が 4 時間以内では予後が不良なこと
と考え合わせると、このような除水計画が示される。
近年、透析時間は 4時間よりも 5 時間透析のほうが予後がよいという成績が発表され、
4 時間透析よりも 4.5 時間あるいは 5 時間透析のほうが予後がよい
無理な除水をして 4 時間で終了するよりも透析時間を延長することを推奨する。
③体重増加の管理=適正な塩分制限と水分制限
「最大透析間隔日の体重増加を 6%未満」にすることを実現するためには
食塩制限が必須である。
食塩制限をすることにより、
・血圧は低下し、
・体液量が正常化し、
・口渇が抑えられ
・水を飲み過ぎないようになる
④ドライウエイトの適正な設定は、透析患者の QOL と予後を左右する
透析患者では適正な水分管理により、多くの症例で血圧を正常化できるといわれている。
体液量の管理不良は高血圧をひき起こし,心血管系に悪影響を与える。
したがって、適正な DW の設定により、透析患者の予後改善が期待できる。
また,透析中の血圧低下は,透析中の筋痙攣や透析後の全身倦怠感の原因となり、
さらに予後不良の原因となる。
逆にドライウエイトの設定が不適切に高いと,心臓に負担が加わり,緊急透析
を要する原因ともなる。<引用:日本透析医学会>
≫日本透析医学会ガイドライン
≫ 維持血液透析ガイドライン:血液透析導入 (PDF)
(3 章 ドライウエイトの設定ーーーーP606)
ドライウェイトの問題点
ドライウェイトの定義があいまい
1.ドライウェイト(DW)定義
日本透析医学会 ドライウェイトのガイドライン
「体液量が適正であり、
透析中の過度な血圧低下をおこすことなく、
且つ、長期的にも心血管系への負担が少ない体重」
ドライウェイトが医師と患者の間で相違がある
データだけを見て、患者を見てなかったら、
透析がきついものになり、
透析翌日に全く動けない状態になることもありえます。
また、あきらかに太ったことで血圧が低い状態なのに
ドライウェイトを上げるのを嫌がる患者さんもいます。
その他ドライウェイトの問題点
・病院の体重計と自宅の体重計に誤差がある
・着るものによって誤差が出る(夏と冬では着る服の重さが異なる)
・DW を下げてから血圧が下がるまでにはある程度の時間差(数週間)がある
(管理目的に DW を下げる場合には、1 週間に 0.3kg 程度ずつが望ましい)
・ドライウェイトは毎日変わっている可能性がある
健常者の体重が毎日違うように、
透析患者も食事量や運動量で、
体重(ドライウェイト)は毎日違う可能性がある。
ドライウェイトが合っているか?いないか?の判断は自分が一番分かるはず
ドライウエイトが合っていないと?
血圧が低くなりすぎたり、高くなりすぎたりして
血圧コントロールが難しくなります。
血圧が高すぎると?
・臓器や血管が損傷する可能性があります。
血圧が低すぎると?
・全身に十分な血液が供給されない。
・体がきつすぎて、動けないなど体調にも影響してきます。
心胸比は、ドライウェイトを決める基準になりますが、
私の通院する病院では、基本的に6ケ月に1回しか測定しません。
6か月の間には、ドライウエイトは増減している可能性があります。
ドライウェイトを下げるタイミング
・血圧が高くなってきた
・食欲がなく、食べる量が少なめ
ドライウェイトを上げるタイミング
・血圧が下がっていつも除水を残す
・食欲があり、よく食べる
ドライウェイトは、頻繁には変えられないかもしれませんが、
自分で、血圧の変動や、体調の変化に気を付けて、
血圧や体調次第では、100~300の間で、
除水を残したり、引き込んだりしながら調整するのも
一つの方法です。
まとめ
中2日間が空くときは、きちんと食事を摂っていれば体重はどうしても増えてしまいます。
月水金の透析の場合、土曜日をできるだけ体重を増やさないようにすると、日月が比較的楽です。
そのためには、重量の軽いメニューを選ぶなどの工夫をするといいです。
重量の軽いメニューは、煮物より揚げ物、ごはんよりパン
具体的には、チャーハンやサンドイッチなどがあります。
チャーハンやサンドイッチは、具材を工夫することで1品でたんぱく質も野菜もとれます。