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【CKM(保存的腎臓療法)】 透析などの腎代替療法を行わない選択肢

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いま、透析患者の緩和ケアとして、CKM(保存的腎臓療法)に注目が集まっているようです。
重度の認知症患者などの透析治療は、見聞きしてても辛いものがありますが、状況によっては、透析をしない選択があってもいいと思います。
その代わりに、出来るだけ残った腎機能を存続させたり、苦しみをとる治療の選択ができればそちらの方がいいと思います。
これまでは、どんなに高齢でも、どんなに全身状態が悪くても、透析を行うのが一般的だったのが、必ずしも透析を選択しない方法もとられるようになってきたようです。

透析患者には緩和ケアが使えないということだったのですが、緩和ケアが使えるようになれば、苦しみを減らす選択肢が増えると思います。

 

保存的腎臓療法とは?

CKM(保存的腎臓療法)とは? 透析や移植を行わずに、腎不全の症状を緩和する治療法
・末期腎不全の患者が透析や移植を選択しない、
・透析を中止したい場合に、身体的・心理的苦痛の軽減のために実施される保存的な治療を指す
CKMは何の略? conservative kidney management
意味:保守的な腎臓管理 
保存的腎臓療法の目的は? ・腎不全の進行を予防する
・透析療法への移行を遅らせる
・腎不全に伴う症状を緩和する
・患者の生活の質を維持する
(高齢患者の場合、がんばって透析を開始したとしても、それ自体が患者の大きな負担になってしまう場合もある)
保存的腎臓療法の内容は? ・透析を行わず、腎不全に伴うさまざまなつらい症状(吐き気、呼吸困難など)は薬などを用いて積極的に緩和しつつ、これまでの治療を継続しながら自然経過に任せる
・保存的腎臓療法では、適宜、対症療法と緩和ケアを併用しながら、これまでの生活指導、食事療法、運動療法、薬物療法などを極力続ける
保存的腎臓療法の適応例は? ・高齢の患者さん
・他の病気などで全身状態が良好でない場合
・重度の認知症の場合
・寝たきりに近い状態の場合
保存的腎臓療法の注意点は? ・患者さん本人だけでなく、家族も含めた話し合いを繰り返し行い、医療者も適切な情報提供を行うことで、本当に腎代替療法を行わないかどうか、合意を形成していく

人生の最終段階をどのように自分らしく生きるか。そのために、どのような治療やケアを選択するか。十分に納得のいく決定をするためには、患者、家族、医療チームが一緒になって話し合うことが重要

≫「命をつなぐ行為」 “透析大国”日本、一方で進まない患者への理解 (ABEMA NEWS)
≫透析も腎移植も受けないという選択肢はありますか?

 

高齢腎不全患者のための保存的腎臓療法

これまでは、高齢であっても末期腎不全患者には、ほとんどが透析という選択肢でした。
しかし、老化が進んだ高齢腎不全患者には、透析は身体的負担が大きく、透析によって益よりも害がもたらされる場合もあると報告されるようになってきました。

・高齢患者に対しては血液透析よりも対症療法と緩和ケアを軸とする保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)のほうが生命予後と機能予後および QOL に関して優位という報告もみられるようになってきた.
・西洋諸国では CKM へのアクセスが拡大している

しかし、透析を導入しないことには、本人や家族の意向もあるので、慎重さが必要になってきます。

高齢腎不全患者と透析

一口に高齢腎不全患者といっても、人それぞれです。腎不全の他には何の合併症もなく、元気な高齢者もいれば、認知症やその他の重大な疾患を抱えている腎不全高齢者もいます。
ここでは、重大な疾患を抱えながらの腎不全患者のことを指します。

高齢腎不全患者の問題点は? 心不全,認知症,悪性腫瘍等が併存していることが少なくなく,療法選択が一層困難になっている
これまでの高齢腎不全患者の選択肢は? ・腎移植は適応外
・血液透析か、腹膜透析
透析が高齢者医療となってきた背景は? ・新規透析導入年齢が70歳代が最多である
・80 歳以上で導入した患者も女性で 34.5%,男性で 26.5% (2020年)
高齢者にとって透析は負担が大きい? ・透析は循環動態に継続的に負荷をかけ循環器合併症の原因ともなるため,老化が進行した高齢者においては治療の負担が益を上回ることがある
・80 歳以上で日常生活障害度が高度の場合,37% が透析導入後の 3 カ月以内に死亡
高齢者にとって透析導入が死亡原因になる? 老化が進行した高齢者では 透析が死因 となりうることは,海外のシステマティックレビュー※1も報告している
高齢者の新たな選択肢であるCKM(保存的腎臓療法) ・CKM は,患者中心のケアであり,腎臓病の進行を遅らせたり合併症を最小化したりする介入治療を含むが,特に症状の軽減と,心理的,社会的,文化的,精神的支援を重視し,透析を含まない
CKM(保存的腎臓療法)
諸外国における近年の研究
・CKMでも年単位の生命予後が見込まれる場合が少なくない
・80歳以上では透析群とCKM 群で生命予後に有意差がみられない
・さらに 80 歳以上では生命予後に有意差がみられないだけでなく,治療の負荷がQOLに及ぼす影響の点でCKM 群のほうが有意に優れている
・透析などの腎代替療法群 群よりも CKM 群のほうが QOL が良好な傾向がある(システマティックレビュー)
CKM(保存的腎臓療法)
生存率は?
・透析などの腎代替療法群のほうが CKM 群よりも有意に良好という報告もあるが,少なくとも CKMは老化が進んだ高齢者にとっては透析療法に劣らない選択肢となることが示唆されている
・CKM は国際的にはすでに広範囲で実施されている

≫高齢腎不全患者のための保存的腎臓療法

※1)システマティックレビュー
ある課題に関する研究を網羅的に検索・収集し、科学的根拠(エビデンス)を体系的に分析・評価する手法

≫日本腎臓病協会 CKMについての動画

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