透析患者の血圧管理って難しいですよね。
高くなりすぎて心配になったり、
逆に、低くなりすぎて、倦怠感が強くなったり、透析中さらに下がってしまったりと・・・
透析患者の場合、血圧と体重には密接な関係があります。
食欲がありよく食べる場合は、太るのでドライウェイトがそのままだと、血圧が低くなってきます。
逆に、食欲がなく、食べれない状態が続くと痩せてくるので、ドライウェイトがそのままだと、血圧が高くなってきます。
血圧の変動に早めに気付くには、家で毎日血圧を計ることです。
最初は、めんどくさく感じるかもしれませんが、習慣にしてしまうと大丈夫です。
同じように、体重もこまめに計ると、1回の食事でどれくらい増えたのがわかります。
目次
透析患者と血圧
一口に、透析患者といっても、血圧が高い人から低い人まで、様々です。
高くもなく、低すぎでもなく、ちょうどいいくらいに管理が出来ているのが理想です。
血圧は、家庭でも毎日決まった時間に計って、”高くなってきた”、”低くなってきた”と早めに血圧の変動に気付くようにしましょう。
透析患者の血圧
透析患者は高血圧でも低血圧でも予後不良で、血圧120~160くらいが一番生命予後が良いようです。
透析治療開始前の平均血圧は? | 154mmHg |
透析患者で推奨される週初めの透析前血圧は? | 140/90tmmHg未満 |
透析患者の血圧が低すぎると? | 収縮期血圧が110mmHg未満の心血管障害がある透析患者は、血圧が120~149mmHgの患者に比べて死亡リスクが2.5倍 |
透析患者の高血圧の割合は? |
全透析患者の74.5%が高血圧 |
家庭血圧で予後がいいのは? |
125~145mmHgが最も予後がいい |
降圧剤を使う場合は? |
適切なDWを設定し、それが達成されても血圧が下がらない場合に降圧剤を投与する |
透析患者の血圧と死亡率との関係
↓
透析患者は、血圧120~160くらいが一番生命予後が良い
血圧が高い
【診察室高血圧の定義】:診察室での血圧が収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上
【家庭高血圧の定義】:収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上
透析患者が高血圧になる理由は? | ・水分や塩分が身体に溜まり、体液量が過剰に増加する ・食べる量が少なすぎて痩せてきている ・ドライウェイトが合っていない |
高血圧の対処法は? | ・適切なドライウェイトの設定 ・透析間の体重増加を増えすぎないようにする ・塩分を摂りすぎない |
高血圧のリスクは? | ・心臓(狭心症、心筋梗塞などの心疾患) ・脳(脳出血、脳梗塞などの脳血管疾患) ・目(眼底出血などの目の病気) ・胸部・腹部(大動脈瘤破裂、大動脈解離など) ・足(閉塞性動脈硬化症、壊疽などの足の病気) |
血圧が低い
一般的に、収縮期血圧が100mmHg未満が低血圧状態のようです。
普段は正常でも、透析中に血圧が下がるのはよくあることです。
低血圧の症状:立ちくらみやめまいが最も多く、朝起き不良、頭痛・頭重、倦怠感・疲労感、肩こり、動悸、胸痛・胸部圧迫感、失神発作、悪心などが挙げられます。
透析患者の低血圧の種類は? | ①透析低血圧(透析中に血圧が下がる) ②常時低血圧(透析していない時も、常に血圧が低い) ③起立性低血圧(起き上がった時に血圧が低下する) の3種類がある |
透析中の血圧低下の原因は? | ・ドライウェイトが低すぎる ・除水が多い ・心機能低下 ・貧血 ・高齢 ・栄養不良など |
透析中血圧が下がったら? | ・除水を止めるか少し残す ・血流を下げる ・液温を下げる ・下肢を上げる ・捕液する |
低血圧のリスクは? | ・低血圧が続くとシャント閉塞のリスクがある ・脳への血流不足による集中力の低下やふらつき ・全身の組織や臓器に十分な血液が届かない ・失神や意識不明などの重体 ・心臓への過度の負担による心臓病のリスクの増加 |
血圧管理はアプリが優秀
血圧測定の記録は、紙に記録するよりも、アプリに入力するほうが簡単です。
アプリもいろいろな種類があるので、自分に合ったものを見つけてみて下さい。
私が使っているアプリは、”血圧のーと”というアプリで、
・グラフがでる
・1週間、1ケ月、60日の平均がでる
・130以上になると赤表示になる
などの機能があります。
週の平均が130以上になり、赤表示になると、少し引き込むタイミングになります。
さらに、赤表示が続き140を超えるようだと、ドライウェイトを下げます。
逆に平均が低く推移するようなら、ドライウェイトから少し残すようにします。
私の感覚では、透析翌朝の血圧が110台くらいだと、倦怠感もなく、透析を始める前の血圧もそう高くならないので、透析翌朝の血圧が110台を目標としています。
透析翌朝の血圧が130超えると、透析を始める前の血圧も140超えと高くなります。
血圧 一般的な疑問
血圧のこと、以外と知らないことも多いようです。
冬場は血圧が上がる?
冬場は血圧が上がる? | 寒くなると全身の血管が収縮することで、血圧が上がりやすくなる 体温を維持しようとする働きや、運動の機会が減ることによっても血圧が上がりやすくなる 逆に、気温が高い場合には、血圧は下がる傾向にある |
冬になると血圧はどれくらい上がる? | 高血圧の人では、夏と冬の血圧差が10mmHg程度ある人が多い |
冬の起床時は血圧が上昇しやすい? |
冬は起床時に血圧が上昇しやすい傾向がある |
足が冷たいと血圧は上がる? | 足元が冷えると血圧が上昇しやすい。 足の末梢まで血液を送るために大きな力を必要とするため |
体が冷えると血圧が上がる | ・寒さによって交感神経が刺激され、血管が収縮する ・血管が収縮することで、血液を送るために大きな力がかかるため血圧が上昇する |
冬場の血圧上昇を予防するには? | ・室温を快適に保つ ・外出時には暖かい服装をして防寒対策をする |
その他血圧の疑問
血圧はいつ計る? | 血圧は1日の中でも変化するので毎日決まった時間に測定する 基本は起床後と就寝前の2回 |
朝起きた時に血圧が高いのはなぜ? | 早朝に血圧が急に上がるのは、 起床時間に交感神経の活性が特に強くなっていること が原因と考えられる 逆に、夜になると交感神経の働きが弱まり、血圧 は低くなる傾向にある |
血圧は1日でいつが高い? | 血圧は常に一定ではなく、健康な人であっても一日の中で変動している 1日20mmHg~30mmHgの変化があり、中には50mmHg変動する人もいる(血圧の日内変動) 通常血圧は起床前後から上がりはじめ、朝起きてから活動が活発になるにつれ、さらに上昇し、夕方になると下がりはじめます。 |
睡眠不足は血圧が上がる? | 睡眠不足や睡眠障害によって睡眠の質が低下すると、交感神経が優位になり、血圧が上昇する |
体重管理
透析間の体重増加量を抑えるためには、こまめな体重測定が必要です。
また 真夏の脱水状態を防ぐためにも、こまめに体重を計り、汗をかいた分は水分補給をしましょう。
体重の増え方を見ながら、飲食可能な量を判断したり、水分の少ない調理法の選択をすることも出来ます。
<体重管理の問題点> ①病院の体重計と自宅の体重計で誤差がある ②季節によって、着るもので誤差がでる ③外出先や職場ではこまめに体重を計れない |
①病院の体重計と自宅の体重計で誤差がある
病院の体重計は、精密で正確です。価格も高く、定期的に誤差確認も行っているようです。それに比べて家庭用の体重計は、価格も安く誤差が生じやすいのではないでしょうか。
家で計った体重と、病院で計る体重が違うというのはよくあることです。
病院の体重計と自宅の体重計で誤差がある場合の対処法は、
透析が終わってから自宅に帰ってすぐに体重を計り、その誤差を見ます。
体重を計るときは、病院で着用の服に合わせます。
季節によって、着るもので誤差がでる
夏服は薄くて軽いので誤差が生じにくいけど、冬服は厚くて重量もあります。
特に寒くなり、たくさん着込む場合は、さらに誤差が生じます。
厚着をしたまま体重を計る場合は、体重増加表を作成して、誤差の分を含めた表を作成し、体重計のそばに貼っておくと、一目瞭然で体重の増加分が分かります。
外出先や職場ではこまめに体重を計れない
薄くて軽いミニ体重計があるので、持ち運ぶか、職場に一つ常備しておく方法があります。